やまそうの音ゲー紀行

音ゲーに関する幅広い話題について書きます(上達論多め)

アイドル系音ゲーの台風の目となるか。本気の「ユメステ」プレイレポート

どうも、やまそうです。

 

今回は7/26にサービス開始した新作音ゲー「ワールドダイスター 夢のステラリウム」*1を1週間程度プレーしてみたので、その感想について書きます。

キービジュアル良いですね

ユメステはサービス開始前の告知から、プロセカやグルミクのような従来のアイドル系音ゲー*2の側面を持つと同時に音ゲー要素にとてもこだわっている」というのをかなり全面に出していました。そこで、音ゲー歴10年前後の自称"ガチ"な音ゲーマー*3である自分の目線から、音ゲーとして見た時の『ユメステ』はどうか?」というのを中心に忖度一切ナシの正直な感想を綴っていきます。

 

 

 

 

1.  オプション・仕様周りについて

「ユメステがガチな音楽ゲームである」と言わしめる大きな要因の1つがオプションの充実度にあります。これに関してはこちらの動画を観るのが分かりやすいかもしれません。

www.youtube.com

 

こちらの動画でも言及されている通り、「ユメステ」にはハイスピ設定の他に「ノーツの表示開始位置」*4「ノーツの表示時間」*5「描画・音の2種類に対しての判定調整」*6のようにAC音ゲーと比較しても全く引けを取らないくらいオプション設定が充実しています!

 

あと地味に120fpsに対応しているのも非常に嬉しいポイントです。60fpsと120fpsは本当に世界が違いますからね……*7

ユメステに真剣なのでiPad Proを新調しました

また、従来のアイドル系音ゲーが抱えていた問題を解決しようとする姿勢も見受けられます。例えば、「レート・達成率といった音ゲーの実力のみに依存した評価基準がある事」す。従来のアイドル系音ゲーでは「クリアランプがクリア・フルコン・APしかないため自己ベストがよく分からない」*8という問題があったのでそれを改善した形になります。

 

この他にも、長押しの終点判定がないフリックに方向指定がない、というのも例えばプロセカで「ロングの終点でGREATを取られるのがつまらない」「フリックの方向違いでGREATを取られるのがつまらない」と言われていたのをより直感的な操作感にした、と言えそうです。*9

 

2. 譜面について

音ゲーとしてのユメステの最大の特徴にして、従来のアイドル系音ゲーと一線を画す点、それが3本以上の指を使用する事を前提にした新難易度OLIVIERです。

「すごい」って何ですか❓

従来のアイドル系音ゲースマホでプレーする音ゲーである」というのが前提としてあったため、3つ以上の同時押しを置く事は滅多にありませんでした。その結果、「3つ以上の同時押しが存在しない代わりに『音ゲーとして不自然な配置』*10を置いて難しくする」という難易度の上げ方をせざるを得ず、これが音ゲーとしての楽しさを損ねると度々批判されていました。

初音ミクの激唱(MAS 33)。交互だったり交互じゃなかったりしろ

そんな中、いきなり「多本指を前提とした譜面を実装します!」と豪語したユメステ。ではその結果どのような譜面が生まれたのでしょうか?ここでは通常譜面の最高難易度であるSTELLAと多本指前提のOLIVIERに分けてそれぞれ概観だけですが述べていきます。(まだ自分も全譜面触れている訳ではないですが……)

 

2-1.  STELLAについて

STELLAは基本的に2本指である程度遊べるように作られているので、比較的難易度は控えめで従来のアイドル系音ゲーと同じような印象です。譜面についても、難易度より演奏感を優先している時が多いですし、交互で取れるように配置の配慮もそこそこされています。正直言える事があんまりなくてすみません……*11

 

2-2. OLIVIERについて

譜面についての本題に入る前にこのゲームにおけるOLIVIERの立ち位置について。OLIVIERはSTELLAと全く独立した譜面として存在しています。具体的には、

 

・STELLAは~29の難易度がついているのに対し、OLIVIERはⅠ~VIII*12と全く独立した難易度がついている

 

・実力指標に関しても、レートはSTELLAまでしか集計されないのに対し、OLIVIERは「星章獲得率」*13という別の実力指標で評価される

 

という感じですね。最初自分がこれを見た時、「どうして同じ指標で評価しないんだろう?」と思っていたのですが、実際にやってみて分かりました。STELLAとOLIVIERを分けて大正解です。

 

というのも、「STELLAとOLIVIERで譜面の作られ方があまりに違いすぎる」からです。先ほど「STELLAは難易度より演奏感を重視して譜面が作られている」という話がありましたが、OLIVIERはその逆でかなり難易度重視で容赦のない譜面が飛んできます。

魔法のラストノート(OLIVIER "VIII")←!?!?!?!?

特にOLIVIER V~VI辺りの高難易度譜面になってくるとその傾向が顕著に表れます。音ゲーに例えるならば、海外産の多本指音ゲーである所のKALPAOverRapidといったゲームを彷彿とさせますね。つまり「演奏感を重視する」という譜面観と「難易度を重視する」という別々の譜面観が共存している事になります。凄い音ゲーだ……

Etoile(OLIVIER VI)とかいう演奏感を追求した結果とんでもない事になった譜面

一方で、個人的な感想ですがいくつかの課題も感じられました。

 

1つ目は3つ以上の同時押しを安直に置き過ぎだな、と思いました。恐らくSTELLAで音を取り切ってしまっているため、難しくするための苦肉の策なのでしょうが……難しい曲ならそこまで気にならないのですが、低難易度でそのような配置をされると演奏感を損なってしまう印象を受けました。

 

また、同時押しがTAPだけなら違和感があるだけで良いのですが、隣接する2つのフリックを片手で同時に処理するのはかなり難しい*14、という事はもうちょっと運営にもプレイヤーにも認知された方が良いんじゃないかと思いました。

 

2つ目は一部の高難易度譜面の配置がかなり怪しい、という事です。具体的には、Faith in Expression(OLIVIER VII)や六兆年と一夜物語(OLIVIER VIII)*15辺りです。前者は安直に縦連を置いて難易度を上げようとしすぎ、後者は難易度の上げ方が片手トリルと連続したフリックに依存しすぎのように思いました。

Faith in Expression(OLIVER VII)。全体的にこのような配置がかなり目立つ

これをサービス開始当初の音ゲーに対して言うのはどうなんだ、とは思わなくもないですが高難易度の中でも譜面の質にかなりムラがある印象を受けました。せっかくOLIVIER低難易度はそこそこ面白いのだから無理して高難易度作る必要ないんじゃないかなぁ……

 

また、これは運営スタッフに音ゲー大好きな方が沢山いらっしゃるという前提で書くのですが、音ゲーのボス譜面はその音ゲーの顔」と自分は思っているのでそれこそOLIVIER VII~VIIIのような高難易度譜面は「なんかできる人がいてすごい!」ではなくて、「超上手い人が頑張ってなんとか攻略できるギリギリのライン」を吟味して譜面を作ってくだされば音ゲーマー冥利に尽きるというものです。

 

ここまで滅茶苦茶シビアな話をしたと思いますが、むしろ自分としてはこのゲームを応援したい気持ちの方が圧倒的に強いです。今後どのように「ユメステの譜面」が進化していくか、というのを見守っていきたいですね。

デアエ・エクス・マキナ!(OLIVIER VII)は良譜面でした

3つ目は譜面そのものに対する批判、というより「OLIVIER譜面を楽しく遊べるプレイヤー層って実はかなり少ないんじゃないか?」という疑問です。「OLIVIER譜面は海外の多本指音ゲーに通ずるものがある」という話を先程しましたが、これらのゲームってめちゃくちゃ難しい上にニッチなんですよね。プロセカのアクティブユーザーが250万人以上とも言われている現在、(自分たちのような音ゲー人間は嬉しいですが)これらの譜面を遊ぶプレイヤーってユメステの全プレイヤーの中で上澄みだけになってしまうのではないか?というのは危惧しています。

 

だからこそSTELLAとOLIVIERを隔離した運営の判断は正解だと思うのですが、一方で音ゲーなのに一部の難易度が隔離譜面扱いされて遊んでもらえない、というのも勿体ないと思うんですよね。だからこそ、今後としては「OLIVIER I~IIIくらいのOLIVIER入門譜面でSTELLAとの橋渡しをする」という事が求められているのではないかと感じています。

 

 

 

3. キャラゲー要素、ストーリー面などについて

ここまで音ゲーの話を散々してきたので、ここからはキャラゲーの面についても少し言及しようかと。

 

3-1. キャラゲーにまつわる楽曲解禁要素について

これについてインストール直後に気になった事としては主に2つあって、

 

・メインストーリーを読まないと歌劇目録で曲を解禁できないのに、メインストーリーを読むためにキャラランクを結構上げないといけないの大変じゃない?

 

・オーディション*16のSTAGE15とか20とかどうやってクリアするんだ???しかもクリアしないと解禁できない曲あるし、スターアクトを発動するための編成パズルが結構複雑

 

と思っていたのですが、気付いたら修正されてました。対応が早くて本当に助かります……

お詫びの配布量が激アツと話題に

3-2. メインストーリー、キャラクターに関して

※この項目はメインストーリー第1章のネタバレが含まれます。もし気になる方は見出しから次の項目に飛んでくださればと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

各ユニットのメインストーリー1章は一通り読んだのですが、全体的にキャラ・ユニットの紹介に終始しており、あまり突っ込んだ話はなかったですね。まぁそこら辺の話はイベントストーリーで回収されると思うので、今後に期待!

 

シリウス1章はアニメ版の焼き直しです。個人的にはアニメで観るのが超おすすめです。別にゲームで観ても良いのですが、映像で観た方が臨場感もありますし、一部の曲に対する印象ががらりと変わるので是非先にアニメを観て欲しい!Farewell Songとかいうの良い曲すぎです。

 

Eden1章は正直あんまり印象がないのですが、仁花子の「彼女の舞台を見た人間はその舞台の評価で嘘がつけなくなる」ってアンチを黙らせるための能力だったんすね~と納得。センス関連だと、初魅の「共演者のセンスを使用不可能にできる」というのも使い方がすぐには思いつかないのでどういう風に描かれるか期待ですね。また、イベントストーリーはまだ読めてないのですが、大黒と初魅の出会いが描かれているようなので後でじっくり読みたいと思います。

 

銀河座1章はラモーナが能力が高いが故に個人主義者だらけだった銀河座のメンバーを繋いでいくストーリー。仲間を集める感じなので展開としては分かりやすいですね。自分は銀河座のストーリーを最後に読んだのですが、いきなり登場人物同士がギスり始めたのでちょっとビビりました。

 

劇団電姫1章はいろはと美兎が劇団電姫に加入して、途中まで上手く行っていたが、時代の流れに沿って変化が求められている、という今後の課題を示したようなストーリーですね。個人的には4劇団の中だと一番ビビッときました!キャラ同士がめちゃくちゃ仲良いのが推しポイントです。

 

ところで、電姫のストーリー序盤でいろはがセンス無くても千寿家で演劇を教え込まれているはずなので電姫のオーディションに通るのは分かるのですが、美兎ってほぼ初心者のはずですよね……?センスを持たないいろはと天才タイプの美兎の間でとんでもない事が起きそうな予感しかしなくて今震えています。

猫足蕾さんの事最初やべー奴かと思ってたらめちゃくちゃ良い人で感動しました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4. 今後追加されたら嬉しいなという要素

・ PERFECT+に対する内部判定

確定値ではないですが、ユメステのPERFECT+の判定幅の広さは恐らく±33.3ms程度*17と思われます。という訳で、CHUNITHMのJUSTICE CRITICALやオンゲキのCRITICAL BREAKに対してfast/slowが出るのと同様の機能をユメステにも実装してもらえると判定が合わせやすくて非常に助かります……

 

・達成率を下4桁まで表示して欲しい

ユメステのPERFECT+とPERFECTの点数比は101:100でCHUNITHMのJUSTICE CRITICALとJUSTICEの点数比とかと同じです。そのため、ALL PERFECTを出しても達成率100.99%としか書かれていないと自己ベストのスコアでPERFECTで何個落としたのか分からないんですよね……下4桁が表示されるようになれば内部で落とした個数が計算すれば分かるので更にスコアを狙いやすくなるかなと。

 

・音声タイミング調整と判定タイミング調整の幅

音声タイミング調整は0.5刻みなのに対し、判定タイミング調整は0.1刻みになっているのが結構違和感あるので両方とも0.1刻みにしてもらえれば。

 

・処理落ち?

これは端末差もありそうですが、全体的にフリック、黄色いノーツの演出が重いように感じます。そのせいか分かりませんが、曲の途中で判定が変わっている*18ように感じられる時があります。自分の勘違いである可能性もあるので強くは言えないのですが、120fpsモードだと挙動が怪しい時があるので出来るだけ早めに演出を軽量化してもらえれば快適になるのでお願いします……

 

 

 

5. 総合的に見て、そしてユメステのこれから

ここまでユメステについて音ゲー面を中心に書いてきた訳ですが、総合的に見れば「かなり期待できる新作音ゲーだと思います。キャラゲーとしてはまだはっきりと評価できませんが、音ゲーとしては既存のアイドル系音ゲーから明らかに進化していますし、ここ数日の不具合に対する運営の動向を見ても(サービス開始直後というのもありますが)かなり対応が早く、好印象が持てます。

 

 

 

一方で、この手のアイドル系音ゲー全てに共通する根本的な問題として、(自分達のような)音ゲーマーは金にならない」というのがあります。これらの音ゲーは多くの場合キャラクターのガチャやイベントランキングといったキャラゲー的要素で石を課金させて収益を得るシステムのため、仮にどれだけユメステが音ゲーとして優れていたとしてもダンカグのように課金するユーザーがいなくてサービスを継続できない、という可能性は0ではありません。

 

そうならないためには、音ゲー面で頑張る一方で、キャラゲー要素にも力を入れるというのが重要になってくると思います。個人的には既に気になるキャラが5人くらいはいるのでこれから頑張って欲しいですね。自分は既に電姫箱推しになりそうです。

千寿いろはさんの星4が可愛すぎて死んでいます

では今回はこれで。

 

 

おまけ

「デアエ・エクス・マキナ!」のPVは全人類観た方が良いです。

www.youtube.com

 

 

 

 

*1:以下、「ユメステ」と略します

*2:以下もこれらのゲームの事を「アイドル系音ゲー」と総称します

*3:自分で言うのもどうなんだよ、とは思いますが……

*4:iidxのSUDDEN+やCHUNITHMのフィールドウォール

*5:iidxの緑数字

*6:ゲキチュウマイの判定調整A・B

*7:iidxやボルテ、CHUNITHMで60fpsから120fpsへの変化を経験した音ゲーマーならお分かりでしょう

*8:グルミクには音ゲーの実力のみに依存する「テクニカルスコア」が存在しますが、使うためには月額500円くらいのサブスクが必要です。余談ですが一方でそのサブスクだけでほぼ全ての曲が遊び放題になるのでグルミクは課金し得です

*9:正直これを問題点と捉えるかどうかは意見が分かれる所だと思います。それはそれとして、ユメステの運営はプロセカの事をある意味意識してゲームを作っている所はあるのかもしれません

*10:交互配置と交互ではない配置が混在している、交互配置の終点に同時押しが置いてあるせいで16分2連打が発生しているなど

*11:自分自身よほど良い配置、ヤバい配置が飛んでこない限りは「まぁこんなもんよね」で流してしまいがち

*12:いずれも2023 8/1現在

*13:イメージとしてはCHUNITHMのOVER POWERとかが近いかもしれないです

*14:横にフリックすると隣接する判定を巻き込むため、上下方向にフリックするのが恐らく最適解

*15:これは独り言なのですが、六兆年にボス級の譜面をつけないといけない風潮そろそろ断ち切りませんか?

*16:適切な編成を組んで課題曲で目標スコアを達成していくモード

*17:CHUNITHM、オンゲキと同じ

*18:特にBPMが遅い曲の方が起きやすい印象?