やまそうの音ゲー紀行

音ゲーに関する幅広い話題について書きます(上達論多め)

The 9th KACボルテ西エリア大会の感想と、決意表明

2020年1月26日、大阪サンライズビルにおいてThe 9th KONAMI Arcade Championship 西エリア大会SOUND VOLTEX部門が行われました。今回はギャラリーとして観に行ってきたので、感想について書きたいと思います!

 

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本選の話をする前にまず、予選の話から。予選は、3曲から構成される蘭華コースと綺羅コースの2つのコースの合計スコアを競い合いました。それぞれの曲目は以下の通り。

 

蘭華コース: ランカーキラーガール(MXM)→GODHEART(MXM)→Last Resort(MXM)

綺羅コース: Call of the World(MXM)→Cross Fire(MXM)→A Lasting Promise(MXM)

蘭華コースについて。1曲目のランカーキラーガールは正直18の中では楽な部類なので助かりました。とは言っても3回で終わった後一回も再P出てないんですけどね。

2曲目のGODHEARTは片手力が非常に要求される19の中でも尖った譜面です。しかし、エリア大会狙うぐらいの人なら"個人差譜面だけど、できる"という譜面なんですよね…自分は全くできなかったので結構ボロボロでした。片手配置に苦手意識がついたために、指が固まるようになってしまいました。

3曲目のLast Resortは、THE・高速地力譜面という感じの譜面です。BPMが252と非常に速く、地力が足りていないと一瞬で置いていかれます。ラスリゾは得意でもなく、不得意でもなく…といった感じだったのですが、実際に提出した時のスコアを見た感じだと普通~ちょい上手くらいだったのかなという印象です。

 

綺羅コースについて。1曲目のCall of the Worldはつまみが抜ける。移行もむずい。この曲をコースでプレーしている時、ランカーキラーガールをやっている時の10倍くらいのストレスがかかるように感じました。つまみも髪の毛も抜ける

実際、コースを詰めていてつまみが抜けて即リセ…を繰り返したプレイヤーも多いのではないでしょうか。

2曲目のCross Fireは、ガチャです。なんでこんな譜面を通しでやらなくてはいけないのか。最後の10秒くらいに本質がほぼ全部詰まっているので精神的にめちゃくちゃしんどいですね。自分は、最後以外をPで通せたことがほぼないのでそもそも門前払いでしたが。詰めている期間中に998出せたのは収穫だったのですが、最終的に開幕のつまみすら繋がらなくなって全てが終わりました。

3曲目のA Lasting PromiseはBPM270の16分トリルが光らないと人権がない譜面。自分は全くできません。また細かい難所が中盤以降に集中しており、トリルを光らせた上でそれらの難所を光らせないと高スコアを取るのが難しい譜面です。自分が凄く苦手にしている譜面の1つだった上に、やればやるほどトリルが光らなくなっていったので、最後まで結局できないままでした…

ただ、気分転換に19で遊んでいたところBlastix Riotz(GRV)が995出ました。BPM270に体を慣らすことで、BPM256を遅いと錯覚させる技。まぁこの曲もっと詰めようと思ったら一番難しいのつまみなんですけどね…

 

蘭華コースが初めて出た時、「綺羅コース出たら2曲目と3曲目Cross Fireとラスプロじゃない?」という噂がTwitterで出回っていたのですが、「そんな訳ないやろ~www」とか調子乗ってたらまさか本当にそうなるとは…課題曲が発表された時、死を覚悟しました。

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↑綺羅コースの曲目が発表された時の自分

 

という訳で結果はこんな感じになりました。

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蘭華コース: 9997517+9968454+9962606=29928577、20位

綺羅コース: 9990306+9947434+9946157=29883897、27位

総合: 29928577+29883897=59812474、24位

 

完全に綺羅コースが足を引っ張ってますね。別に蘭華コースもそこまで上手くはないですけど…GODHEARTもCross Fireもラスプロも、周りで予選通過した方々は997以上は出ている感じなのでそれについていけなかったのが敗因ですね。

 

今回のKAC予選では、2コース合わせておよそ15回前後しかプレーしていません。試行回数が明らかに少なすぎなのですが、実はKAC西エリア大会の日程と英検の受験日が被ってしまい、仮に予選通過したとしてもエリア大会に参加できなかったんですよね。(エリア出場者の集合時刻が朝9時で、英検は午前で終わりだったため試合開始には間に合った)それでも自分なりにできることはやってみよう、と思って今回の予選にチャレンジしたのですがやはりKACの壁は高いなぁと実感しました。「上手い人はこういう譜面が普通にできるんだ」という実力の差を理解させられる結果になったと思います。

 

前書きが長くなってすみません。ここからようやくエリア大会について書いていきます。まずは、去年と比較して全体的にどんな感じだったかという事について。皆さんご存知の通り、今年からKACのエリア大会枠数が8枠から16枠になり、エリア大会が開催される機種が増えました。そのため、各エリアでの大会日程が1日開催から2日開催になり、STAGE AとSTAGE Bの2つで異なる機種を同時並行で進めるという形式でした。

 

東エリアの方は観に行ってないので分からないのですが、西エリアでは「1つの大きい部屋の色んな場所に違う機種が置いてある」みたいな感じでした。これについて個人的にちょっと気になったのが観客の歓声についてです。出場者が素晴らしいプレーをすれば歓声が沸くのは当然のことです。しかし、同じ部屋で2つ別々の機種を進めているため、片方の機種でプレーが進行している際にもう片方の機種で大歓声が上がることがあり、これが出場者のプレーの妨げになってないかな…というのは個人的に心配になるポイントではありました。エリア大会が行われる部屋は、入口にKONAMIのスタッフさんが立っており人が出入りする場合を除いて閉め切られています。このため音がとてもよく響くようになっています。プレーしている時の音が響くのはとても良いことなのですが、観客の歓声もよく響いてしまうんですよね…

 

あともう1つ気になったのが大会の流れについて。ボルテのエリア大会はこれまで出場者の肩書きを紹介したり、出場者に意気込みを聞いたりするシーンがあったのですが、それが全部無くなっていきなり試合に入ってたのが個人的にちょっと残念でした。あの場に立ってるプレイヤー達がどういう気持ちであの場に立ってるかとか聞いてみたかったんだけどなぁ

KACという大会は単なる勝負の場に留まらず、「各出場者がそれぞれ音ゲーに懸けてきた思いを観客に披露し、それをぶつけ合う場」でもあると思うんですよね。去年と比較するとそういう所があまり見れなかったな~という印象です。やっぱり出場枠を広げたせいで尺が足らなくなってカットせざるを得なくなったんでしょうか…そこは無理してでも尺取って欲しかったというのが正直な感想です。

 

さて、ここからは具体的な試合内容について書いていきます。準決勝は16人を4人×4グループで分割し、2曲を指定課題曲リスト(18~20の300曲超)の中からランダムで選び、その合計点1位が勝ち抜けというルールになります。組み分けは以下の通りです。(敬称略)

 

グループA: はんだごて、こうめい、ぽてさつ、あるてぃー

グループB: スケット、あいか、チーズ、おもち

グループC: さかりゅ、れあら、かいなる、しんいち

グループD: あずー、よばて、とりで、バナナ

 

・グループA

課題曲1: Sailing Force(MXM)

課題曲2: Booths of Fighters(MXM)

なんで両方19なんですか…???1曲目のSailing Forceは、序盤にある長い24分トリルを抜けても要所要所で難しい配置が多く、とても1曲目にやらせる曲とは思えないですね…1位でも991と、出場者4人とも苦戦していたのが見ていて伺えました。18が大多数を占めている箱から難しい19引かれたら誰でも動揺しますよね…

2曲目のBooths of Fightersは19の中では比較的マシな選曲。しかし、中盤の脳トレ地帯は覚えていないとかなりしんどい上にミスると一瞬で大量失点に繋がるため、一発勝負ではあまりやりたくない曲の1つだと思います。

この2曲をプレーして決勝に進出したのは、Sailing Forceのリードを保ったままBoF天でも996と高いスコアを記録したぽてさつさん。

 

・グループB

課題曲1: Bangin' Burst(EXH)

課題曲2: Fin.ArcDeaR(EXH)

グループAで2曲とも19だったのにどうしてまた元19引いてるんですか…?東日本ではGRVの方を引き当てる、なんていう大惨事もあったみたいですが…バンギンはGRVばかり注目されがちですが、EXHも難しい譜面だと思います。特に終盤のBoF配置が抜けやすく、すぐ失点に繋がってしまうのが怖いですね。さらに最後に来る16分トリルは、焦ってearlyを出しやすく大量失点に繋がってしまうことが多く気が抜けません。そして、そんな中でも大会の極限状態でチーズさん、スケットくんがなんと998をマーク。ちょっと信じられないんですけど…

2曲目のFin.ArcDeaR(EXH)はボルテVで17から18に昇格した譜面であり、速い階段が特徴なのですが、元17な事もありそこまで難しくなく、18PUC入門に挙げられることもあるほど。大事故を起こさなければこのレベルのプレイヤーであれば998以上が出る曲であり、この時点でチーズさんとスケットくんの一騎打ちになるなと読んでいました。

結果、1曲目でリードしたスケットくんが998以上をきちんと揃えて勝利。

 

・グループC

課題曲1: CODE -CRiMSON-(GRV)

課題曲2: MG277(EXH)

2曲ともめちゃくちゃ癖のある18引いてきましたね…1曲目のCODE -CRiMSON-はサビにつまみを回しながら片手トリルをする配置が右手と左手に何度も飛んでくる、片手トリルできない人間絶対●す譜面になっています。また、4~5連打が結構飛んでくるため、身構えていないと縦連の速度に追いつけないようになっています。

2曲目のMG277はBPMが277と非常に速く、CHAIN数も1736と少ないため、18の中でも特に差がつきやすい曲の1つになっています。極めつけは最後のDCABの繰り返し16分からのつまみで、このつまみは入れるのがとても難しく、つまみに意識が向きすぎて鍵盤で崩れてしまうことも多いです。

このグループを制したのは、れあらさん。2曲目が発表された時に思いっきり土下座していたのは何だったのか。あの場で997出てることが信じられません…

 

・グループD

課題曲1: Yum Yum Sweetie(MXM)

課題曲2: V.I.P.(HVN)

 最後までやらし~選曲が続いた西エリア準決勝…Yum Yum SweetieはノスタルジアからのPOLICY BREAKで移植された曲で、現在ではブロックで解禁可能になっています。しかし、この曲をピンポイントで対策していた、という選手は少ないのではないでしょうか。譜面についてですが、要所要所で飛んでくる24分トリルをきちんと光らせられるかがポイントになります。また一か所配置が修正された箇所があるため、これを覚えていたかどうかも勝負の決め手になったかもしれません。

2曲目のV.I.P.は全体的に片手のFXとBTのトリルや、ある程度覚えてないと厳しいつまみが目立つ譜面です。また、序盤は前例がないタイプの繰り返し配置があるため、慣れていないとそこでearlyを量産してしまいがち。

結果ですが、1曲目で魅せたとりでさんと2曲目で魅せたよばてさんの勝負となり、なんと僅か680点差でとりでさんの勝利!この試合は観ている側も結果が表示されるまでどっちが勝ったか全く分からず、とてもアツかったですね~

 

・エリア決勝

勝戦はグループA~Dから勝ち上がったプレイヤーが1曲ずつ自選曲を宣言し、4曲の合計スコアの上位2名がJAEPOで開催される決勝大会に進出というルールになります。各選手の自選曲は以下の通りです。(敬称略)

 

ぽてさつ選曲: Lachryma《Re:Queen'M》(GRV)

スケット選曲: Typhoon Craaash!!(GRV)

れあら選曲: Turn the story(MXM)

とりで選曲: World's end(EXH)

 

全員それぞれが思い入れのありそうな曲を投げている感じですこれこそ投げ合いの醍醐味なのではないでしょうか。

1曲目の Lachryma《Re:Queen'M》は予想通りの選曲。ぽてさつさんは20が特に上手い印象があるのですが、全国ランキングの自己べストを見ても995以上出ており、ここで投げてパワーで全てを破壊する戦略を取るのは自然だと言えるでしょう。ラクリマはそもそも難しい上に事故要素が多いため、投げるためには相当実力に自信がないと厳しいと思うのですが、それを本番に持ってこれるのはさすがだなぁと思いました。

2曲目のTyphoon Craaash!!は発表された時爆笑しました。こんな曲絶対に本番でやりたくない。スケットくんの事だからTHE凸GENERATORとか投げてくるかな~と踏んでいたのですが、確かに彼が物理的に指が動かないと押せない譜面(いわゆる"フィジカル譜面")を得意としていることを考えれば面白い選曲だったと思います。

この曲は、アウトロ前に飛んでくる長い片手トリル地帯が全て。このレベルのプレイヤーであれば、ここ以外でニアを出すことはほぼないでしょう。しかも、CHAIN数が1538と異様に少ないため、片手トリル地帯でミスると5万点~10万点が一瞬で吹き飛びます。

3曲目のTurn the storyはこれも意外な選曲でした。個人的なイメージなのですが、彼は去年の8th KAC西エリア大会において会津くん相手にFLügeL《Λrp:ΣggyØ》(GRV)を自選曲として投げ、なんと997というとんでもないスコアを叩き出したのが印象的でした。なので今年もフリューゲルで行くのかな、と思ったら全然違う曲が出てきましたね。本人も自選曲発表の時に「今回は去年みたいに攻めるか、ロマンチストな選曲で行くかで悩みました」みたいなことを言っていたので、フリューゲルも選択肢の中にあったのだと思います。

譜面について。この曲は18の中ではそこまで大きな差がつく部類ではありませんが、速度のよく分からない縦連、心電図つまみを抜けたあとのBPM240の入り、最後のBPM240から少しずつ遅くなっていく鍵盤など細かいところでニアが出てしまいがちです。そのためPUC難易度はかなり高いのですが、彼はこの曲をPUCしています。KAC本番の音響でこの曲が聴けるの最高すぎる。

4曲目のWorld's endはなるほど~という選曲です。とりでさんとは最近神戸大学の文化祭の時に初めてお会いしたのですが、"どんな譜面が得意なのか"という事について全然知らなかったので発表されるまで全く何を選んでくるのか読めませんでした。しかし、発表された時「彼ワーエンPのリザルトを固定ツイートにしてたわ…」という事を思い出したので相当思い入れのある楽曲だったのは間違いありません。

譜面についてですがBPM270の12分や16分が入り乱れる高難易度譜面であり、18の中では差のつく曲の1つだと思います。また1687CHAINというCHAIN数の少なさが故、1つのミスが大きく響いてくるのもポイントです。特に終盤に来る16分螺旋配置や、最後のABCD階段は光らせるのが難しく、慣れていないと高いスコアを取る事はできないでしょう。

この4曲を演奏して見事JAEPOへの切符を勝ち取ったのは、ぽてさつさんととりでさん!本当におめでとうございます!!!しかし、4人とも超大接戦で2位と3位の差が1ニア程度しかない、というのが本当に驚きました。それだけ実力伯仲ということで、観ていてとても楽しかったです。

 

ところで西エリア大会を見ていて思ったのが、「東エリアに比べるとランダム選曲で比較的難しい譜面が多く選ばれていた」という事です。今回の西エリアで言うと、簡単すぎて差がつかない譜面というのはフィナルカディア赤くらいだったのではないでしょうか。その分、一発勝負とは言えど実力を反映するような勝負が行われていたように感じました。

準決勝のリザルトを見ていると、上位の人は18中~上位の譜面で997~998を一発で出しています。本番での緊張で普段より指が動かないことを考えれば、めちゃくちゃ高いスコアです。それだけのスコアを一発で出せるほどの地力の高さをオンライン予選で見せつけているとも言えます。

 

では、そういう人達に勝っていくにはどうすればいいのでしょうか。実は、自分もエリア大会前に会津くんや京音から今年エリア大会に出場した人達とランセレの練習を少しだけやってました。すると、会津くんはこの形式めちゃくちゃ強い。18でどれだけ難しい曲を引こうが、998前後をほぼ揃えてくる。(Joyeuse(VVD)引いて998出された時はどうしようかと思った)

では彼がどうしてそれだけ強いのか考えてみると、地力が圧倒的だからなのですが、それ以上に「譜面に対する先入観」が理由なのではないかと考えています。どういう事かというと、高難易度譜面を引き当てた時に「この曲はムリ!」という先入観が影響して、十分な力を出し切れていないのではないかということです。

地力が十分にあれば、難しい譜面であろうと落ち着いて処理できるため、安定して高いスコアを出すことができます。今後は、「ただ高い自己べを持っている」だけでは不十分で、「当たり前のように押せる」ということが要求される環境になっていくのではないかと予測しています。安定して18上位や19で高いスコアを出せるプレイヤーというのは、結局インペリアル前後の人とかが癖のない17をやっているのと同じような感覚で19以上をやっているのではないかと思います。自分も18も998埋めをやっていますが、更にもう1段階上に「ほぼ毎回998前後出せる」というレベルがある、というのを今回の大会を通して学んだのでまだまだ先は長いですね。今年1年修行して、来年は必ず出場者の側で西エリア大会に戻ってきます。

 

最後に、京都勢の出場者の人達へ一言ずつ。

しんいちさん: エリア大会直前期はタイミングが合わずあまりゲーパニでマッチングできませんでしたね…またお会いできればロカマチしましょう。あとラクリマ教えてください。

 

スケットくん: 当日調子が悪すぎてやばいと言ってたのはなんだったのか。調子が良い時の爆発力は本当に凄い。お互いに得意な譜面傾向が真逆なので、お互い参考にしていこうな。あとTyphoon Craaash!!(GRV)を自分に投げるのだけは勘弁してください。

 

チーズさん: ケーシューの方も非常に上手く、安定感もあり、得意な譜面傾向も自分と近いので、自分が今一番目標にすべきプレイヤーだなぁと感じています。またケーシューの話とかできれば是非。

 

よばてさん: 昨年ごろから京都で見かけるようになった方なのですが、自分よりちょっと地力上の方だなぁと思ってたら一瞬で遠いところまで行ってしまわれた…とりでさんとの勝負は本当に名勝負だった!エリア決勝でショックウェーブぶん投げてる所観たかったなぁ…また今後ともアクティブよろしくお願いします。

 

それでは~